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2020.12.08 REVIEW

Model One BT 20th アニバーサリーモデル | Tivoli Audio

第一号機へのオマージュ

チボリオーディオがボストンのマサチューセッツで、ヘンリークロスとトムデベストによって創設されたのが2000年。そして今年で20年目を迎え、その20周年を記念してアニバーサリーモデルが世界限定1600台でリリースされることになりました。そのうち日本仕様はわずか100台限り。(ラジオの設定が各国で異なるので、日本仕様でなければラジオの受信ができません)

そこで私の手元に届いたばかりのModel One BT 20thアニバーサリーをご紹介してみようと思います。

 

 

マザーオブパールのひらめき

このモデルの最大の特長はその仕上げ。
今から20年前、初めてTivoli Audio製品として世に出たModel Oneの 第1号機は、現行のモデルと比べるとウォルナットの色がかなり濃いのがわかります。これは50~60年年代のオーディオの名残として、敢えてラッカーを着色してコーティグしていたためですが、現行モデルでは、現代トレンドに合わせて、天然ウォールナット材にツヤ消しのクリアラッカー塗装仕上げとなっています。

そのため20thアニバーサリーモデルでは、この第1号機のオマージュとして、本体の天然ウォールナッ材を通常より濃くしたかったそうです。

ただ現チボリオーディオ のデザイナーのポールは、そのまま色を濃くするだけでは特別感がでないので、生涯音楽を愛し音質を追求し続けた敬愛すべきヘンリークロスの想いを継承しつつ、自分らしいTivoli Audioさを表現するために思案した結果、マザーオブパールの象眼細工を使用することを思いついた。ギタリストでもあるポールは、愛用のマーティンギターのフレットやLOGOに象眼されたマザーオブパールにインスパイアされたのだそう。

そこで、ボディのウォルナットを高光沢のウレタンラッカーで濃く厚目にコーティングすることでマザーオブパールの象眼細工がより引き立つようにしたんだとか。

さらに、特別限定モデルだからアイコンでもある大きなチューニングダイヤルと、シンプルな操作が定評の2つのノブも同様にウォルナット材の同仕上げにすることで、単純にシリアルナンバー付き限定モデルだけでなく、プロダクトとしての特別感がより一層高まったのは、チボリオーディオ ファンにとっても嬉しいことではないでしょうか。

 

 

 

Model Oneのルーツ

オーディオの世界では伝説的な人物として知られるヘンリークロスは、1952年に共同設立したAcoustic Reserch(アコースティック リサーチ)社で画期的な発明と称えられた世界初のアコースティック・サスペンション・ラウドスピーカーである「AR-1」や、業界初のブック シェルフスピーカー「AR-2」「AR-3」などを発明し、オーディオ業界に革命をもたらしてきました。

ヘンリークロスは、それまで小型の筐体では低音が十分に再生されないという概念を覆し、世界初のドーム型ユニットのAR-3を開発し、広い指向特性がステレオ再生に適していたことで,1959年以降、ステレオが主流となりつつある中、それ以降のスピーカーシステムの主流となった。あのマイルスデイビスも愛用しているということでも注目を集め大ヒット作品となりました。

その後ヘンリークロスはアコースティック リサーチ社を去り、1957年にKLHというオーディオ会社を設立。この頃Model Oneの原型となる真空管式の卓上FMラジオ「Model8」や、ポータブルステレオレコードプレーヤー「Model11」といった卓上型の機種を発表している。ちなみにベルト駆動ターンテーブルを発明したのもヘンリークロス。

60年程たった今もなおそのコンセプトとデザインは引継がれ、製品として生き続けているテーブルラジオスピーカーのマスターピース。ここまで拘り抜いてしかも歴史を牽引してきた現役ラジオなんて、世の中どこを探してもModel One以外存在しません。

そのヘンリークロスによる研究と技術の全てが詰め込まれたModel Oneは、ついに誕生から20年を迎えるロングセラーとなり、20thアニバーサリーモデルとして今回初めて限定発売されることになりました。

サウンドは今までのModel One BT同様、中低音もそこそこ深く、全体的にはゆとりを感じながらスッキリとしたチボリオーディオ サウンドそのもの。

欧米では間も無くほとんどの国がデジタルラジオに移行するため、それに合わせModel One BTもとうとうアイコンであった大きなチューニングダイヤルが無くなり、ボタンに変わっていくそうです。

幸い日本ではしばらくはデジタルラジオ放送に切り替わる予定はないらしいですのでこのデザインは継続してもらいますが、いずれデジタルムーブメントには耐えれなくなるはず。その意味でもこの第1号機から継承されてきたダイヤルのデザインによるアニバーサリーモデルは、これが最初で最後になるはず。

そういった意味でもプレミアム度はこれまでのコラボモデルなどの比ではありません。

 

 

 

時代を超えるミッドセンチュリーの思想

本来2020年は、チボリオーディオ創設20周年を記念し華やかなイベントなどでお祝いムード一色のはずであったが、奇しくも新型コロナウィルの影響で世界中が自粛ムードとなり、人との接触を断つため外出を控えることを余儀なくされたため、静かに祝福されることとなった。

今、多くの人が新たな価値観を見出し、ニューノーマルな時代への突入を予感し始めている。そんな中、1957年から脈々と受け継がれてきたコンパクトで高音質、そして誰もが購入することができる高性能ラジオ(スピーカー)という思想。

多分その思想を受け継ぐ最後の記念モデルとなる20thアニバーサリー は、12月11日の発売予定です。

世の中が新たな価値観の時代へ変わったとしても、決して変わることのない良質といいう価値観。利便性ばかりを追い求め、本当の良質が失われつつある現代工業製品へ一石を投じるメモリアルプロダクトになって欲しいと願っています。

 

 

 

 

ぶん:Noboru

 

 

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